応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第24回 ポリテックビジョン in 栃木 142 ボックス形木造模擬家屋の施工・施工管理 -環境測定スペースの基盤として- グループ8 建築施工システム技術科 〇宮城 拓海 佐藤 日和 飯塚 和寛 島田 尚哉 1.はじめに 2016 年度建築施工システム技術科開発課題におい て施工された屋外模擬家屋は木造住宅の外装仕上げ工 事を学ぶことを主な目的として建てられた.一方で施 工後の活用方法に関しては検討が不十分な面もあり, 2018 年度の応用課題にて住宅気密測定の実験に用い た以外は主に見学用として用いられるのみであった. 本開発課題では,目的を持った建物を計画から施 工・施工管理まで行い,将来的に環境測定スペースと して活用することができる木造模擬家屋を新たに施工 する(以下,新模擬家屋).なお,施工はコストおよび 工期の関係から,躯体施工および外装施工を主とする. 2.木造模擬家屋の計画・設計 2.1.計画概要 躯体の設計および施工に関しては【フラット35】枠 組壁工法住宅工事仕様書2019年版(以下,仕様書)に 準拠し,図面・施工手順書を作成した. 環境測定スペースの基盤を目指すにあたり,既存模 擬家屋の改築も視野に検討したが,スペース的に狭い ことから,解体の上,既存底盤コンクリート上になる べく広い新模擬家屋を建てる計画とした.また,比較 測定が行えるように,間仕切りを床から天井裏まで仕 切ることができるようにし,独立した出入口(勝手口 ドア)と開口部(腰窓)をもつ部屋を2部屋設けた. 既存模擬家屋が一年次に木造標準課題でも取り組んだ ことのあり,切妻屋根のオーソドックスな外観であっ た事から,異なる納まりや施工を学ぶため,近年の住 宅でも多くみられる軒の出が少ないボックス形に近い 形状の模擬家屋とすることにした.なお,主な計画概 要については,表1の通りである. 2.2.環境測定の検討 環境測定の計画においては,主としてサーモレコー ダおよび熱電対を用いた温度測定,住宅気密測定器を 用いた気密測定を行うことができる木造模擬家屋とす ることとし,各種センサー等の取り付け位置等を決め た.設置するセンサーのいくつかは,外装仕上げ完了 後には設置できない場所もあるので,本開発課題にお いてセンサーの取付けを行った. 2.3.構造の安定について 新模擬家屋は建築基準法第6条1項の四号に規定さ れる4号建築物に相当するため,仕様書による躯体構 造に対する規定の確認と,壁量計算によって構造の安 定を確認した.仕様に基づく耐力壁線上における開口 部の幅寸法は北面,南面とも規定以内である.また, 壁倍率を3.5倍として算出した場合,必要壁量より存 在壁量が上回ることが確認できた. 表1 新模擬家屋概要 構造躯体 木造(2×4工法) 平面サイズ 3,450㎜×3,255㎜ 1FL 534㎜(床下地合板高) 最高高さ 3,801㎜(屋根下地合板高) 屋根形式 片流れ屋根 軒の出寸法210㎜ 屋根勾配 2.5寸勾配 外壁仕上げ 窯業系サイディング(横張) 屋根仕上げ オベロン 開口部建具 勝手口 W740×H1,800㎜ 2か所 腰 窓 W690×H700㎜ 2か所 センサー 取付位置 床下:温湿度センサー 屋根・壁仕上裏:表面温度センサー 通気層:温度センサー 3.新模擬家屋の施工 3.1.基礎施工 既存の底盤コンクリートに基礎の立ち上がり部を 鉄筋コンクリートにて施工をした.立ち上がり高さは GL+400 ㎜とし,打設した生コンクリートは呼び強 度24N/m㎡の普通コンクリートを採用した.既に打 設されている底盤コンクリートと,基礎の立ち上がり 部分を固定するため,底盤コンクリートにセットアン カーを打ち込み,全ネジボルトを埋め込んだ状態で打 設を行った.また,基礎天端を平滑に仕上げるため, 打設後にセルフレベリング材を施工した. 3.2.躯体施工 仕様書ではツーバイ材や面材との接合に際して,専 用の釘を用いることと,接合場所に応じて使用する釘 の長さや本数,打ち方などが詳細に規定されている. 新模擬家屋の施工においては,仕様書の規定に則って 実施したが,木材を釘で所定の本数で固定すると,人 力による解体が困難になる為,本開発課題では同長さ のコーススレッドで代用した. 床組は施工時の簡便性から根太レス工法とし,床下 には厚さ80㎜のグラスウール断熱材を敷きこんだ. 居住・建築システム技術系 開発課題

RkJQdWJsaXNoZXIy ODQ0MTk3