応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第23回 ポリテックビジョン in 栃木 130 x y z カテナリー曲線によるアーチ構造物の設計・施工管理 G7 建築施工システム技術科 安部 真隆 ○板谷 佳祐 大山 昌樹 大和 絢子 柄澤 幹弥 平澤 和也 安田 幹 1.はじめに 設計図書に示される性能が確実に発揮されるような 建築物を施工するためには,施工管理の技術が大切で ある.中でも,施工計画の重要性は高い.本課題では,カ テナリー曲線をテーマとして,設計から施工計画,施工 並びに施工管理までを行い,施工計画の有用性を検証 することを目的とする. 2.概要 2.1カテナリー曲線について カテナリー曲線とは,チェーンや電線などの両端を 持って垂らしたときにできる曲線である.これは,部材 に働く引張力と重力の釣り合いにより,力学的に安定 している.この曲線を重力に対して上下逆向きにした 形状とすると,すべての部材に圧縮力が働き力学的に 安定する.カテナリー曲線は建築・橋梁においても用い られる.一般式は次の通りである.(式2.1) y = cos ℎ( � � ) = � � � �� �� � �� � � ここで,coshは双曲線関数,aはカテナリー数である. 2.2建設規模 図2.2 The Gateway Arch(St.Louis 1965) 本課題では,カテナリー曲線を用いた構造体とし て,Eero Saarinen が設計したThe Gateway Archを約 1/30のスケールで再現することとした.断面は正三角 形であり,頂部に向かって小さくなる.断面の大きさは The Gateway Arch との比により算出した. 式2.1を本課題の規模に合わせ算出すると以下の通 りである.(式2.2) y = 656.46 cos ℎ( ��� � �.�� × 3 − 1) ・高さ:6m ・スパン:6m ・柱脚部断面の一辺の長さ:516㎜ ・頂部断面の一辺の長さ:162㎜ 2.3設計図 算出した式をもとに,AutoCAD のスクリプト機能を用 いて設計図を作成した.(図2.3) 図2.3 立面図 図3 長期荷重時 モーメント図 3.構造計算 構造は,GL~約2.4mまでを鉄筋コンクリート造(以 下RC造),そこから頂部までを鉄骨造(以下S造) の RC+S造とした. 応力解析はマトリクス有限要素法を用いて行った. 二つの構造の接合位置は長期荷重時の曲げモーメント が0となる位置とし(図3),柱脚は露出型柱脚とし た.RC部は柱・梁の各々の断面算定方法で検討し,鉄 筋の径,本数を双方の条件を満たすように設計した.S 部はT形鋼とし,曲げモーメント,圧縮力に耐え得るよ う断面算定を行い鋼材の板厚・種類を決定した. 表3 構造図一覧 基礎リスト RC造部柱脚部の断面 S造部柱脚部の断面 4.実施設計・施工図・加工図 構造計算を基に,実施設計を行う.また部分詳細図に よって納まりを検討し,施工図・加工図を作成した.RC 部では三角形の帯筋を初めて作製すること,また主筋 を現場で曲げることから施工誤差を考慮し,かぶり厚 さを通常の+10mmとした.RC部とS部の接合部はネジ テツコンとプレートナットによるアンカーボルトを考 案し,フックが不要な納まりとし柱脚部を納めた. 仕上げについて,RC部はLGSをコンクリートに埋設 居住・建築システム技術系 開発課題 ・・・(式2.2) ・・・(式2.1) Fc 24 (SD345) 9-D19 (SD295A) D10@100 SM490 FB9 ウェブ FB12 フランジ PL9 受け材 最大曲げモーメント 1.15kNm 130

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