応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第22回 ポリテックビジョン in 栃木 121 5.構造体の劣化調査 製作した構造体を用いて劣化調査を行った.その 結果を表2に示す. 表2 劣化調査 調査項目 構造体名 結果 ひび割れ深さ 構造体1(20mm) 良 構造体2(30mm) 良 構造体3(40mm) 良 鉄筋腐食探査 構造体4(鉄筋腐食) 不可 鉄筋探査 Ⅰ Profometer 4S 構造体5(かぶり厚さ) 優 構造体6(鉄筋径) 可 鉄筋探査 Ⅱ Profoscope 構造体5(かぶり厚さ) 優 構造体6(鉄筋径) 可 強度劣化 構造体7(強度劣化) 良 表面劣化 (引張) 構造体7(表面劣化) 優 表面劣化 (赤外線) 構造体7(表面劣化) 優 優:測定誤差が少なく,数値が安定している. 良:条件を満たしているが,機器の性質上数値にばらつきがでる. 可:条件を満たしていれば,測定が可能になる. 不可:測定ができなかった. ひび割れ深さ調査では,最大±15mmの誤差が生じ たが,測定原理から判断すると良好な結果といえる. 鉄筋探査調査では,鉄筋のかぶり厚さは各設定深 さとも高い精度の結果が得られた.鉄筋径に関して は鉄筋配筋の状態により多少の誤差があるが良好な 結果と判断できる. 鉄筋腐食調査では,製作した構造体内の腐食して いる鉄筋を探査することができなかった.この結果 は鉄筋の腐食過程に原因があると考えられるため, 現在,鉄筋を電気腐食 4) により意図的に酸化を促進 させて再度計測を行えるか判断したいと考える. 図3 劣化診断状況(鉄筋腐食探査) 表面劣化調査では,構造体を赤外線サーモグラフ ィで撮影することにより,高い精度でタイルの浮き と考えられる部分を判別できた.測定した画像を図 4に示す. 図4 赤外線サーモグラフィによる検査結果 6.マニュアル作成 本開発課題で習得した内容を応用課程の学生が学 ぶことのできるマニュアル作成を実施した. 昨年の11月28日にそのマニュアルを用いて,応 用課程建築施工システム技術1年生の維持保全の授 業で,劣化調査の講義を開催した.講義では製作し た構造体をもとに機器の操作説明を行い,授業の結 果をアンケート調査した結果,「話すのが早い」「声 が小さかった」などの指導技術の指摘や「モノクロ 印刷のため,写真が見にくい」という意見を頂いた. 指導技術以外の指摘された点や気付いた点をもとに マニュアルの改善をした. 図5 維持保全の講義風景 7.まとめ 一年間の開発課題を通し,RC造の劣化調査や,RC 造標準課題では学ぶことのできなかった建具廻り, 外壁タイルの施工を学ぶことができた.その中でマ ニュアルの作成や講義を行うことで人に教える難し さを学ぶことができ,非常に良い経験となった.ま た,グループでひとつの目標に向かう大切さや達成 感に気付くことができた.この経験を就職後も活か していきたい. 8.参考文献 1)日本建築学会 建築物の調査・診断指針(案)・同解説 2)LIXIL タイル張りの設計と施工 http://www.biz-lixil.com/products/tile/technic alguide/construction/pdf/construction.pdf 3)タイル施工法 http://www.kentou.jp/tile-knowledges/642/ 4)川田技法 Vol.7/JAN,1988 自動腐食促進装置の試作と 利用法 121

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