応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第22回 ポリテックビジョン in 栃木 119 4.2 躯体施工 躯体施工は【フラット 35】対応 枠組壁工法住宅工 事仕様書 平成28年度版を参考に行った.枠材には普 及材のSPFを,外壁には9mmの構造用合板を用いた, なお,2×4工法は枠材を専用の釘を用いて固定する が,本開発課題では解体まで自分たちで行うため,釘 と比較して解体が容易なコーススレッドで代用した. 代替基礎の上に通気基礎パッキンを置き,その上に 90㎜角の木材による土台を組む.本開発課題では根太 レス工法で,高さを出さなければいけないため,土台 は2段とした.900mm 間隔で大引きを取り付け,大引 きは鋼製束を用い支えた.床下地合板には 24mm 厚の 構造用合板を用いた.また床仕仕上げ面の高さがテラ ス窓と勝手口ドアの下枠と一面にするため,床下地合 板の上に 27mm 厚のパーティクルボードを敷き,床仕 上げ面の高さを調整した. 足場をコの字状に設置した後,床下地合板の上に枠 材に9mm厚の下地合板を張り付けた壁パネルを建て起 こした.足場を全て設置し,親綱を取り付け,片流れ の小屋組みを行った.最後に野地板を張り付けた. 5.内装施工 5.1 内装施工の施工順序について 内装仕上げの順序は,ファイヤーストップ構造とす るために,天井と壁の取り合いは壁を先行して内装下 地施工を行った.その後,野縁,天井下地,天井仕上 げ(木質調湿天井材)を行い,床仕上げ(フローリン グ),壁仕上げ(クロス)の順番に施工を行った. 5.2 内装仕上げ施工 壁材では無地クロス,柄クロスそれぞれ貼り方が習 得できるように,室内の壁に上下を分ける見切り材を 取り付け,見切り材上側を無地クロス仕上げ.下側を 柄クロス仕上げとした. 天井材では,12.5 ㎜厚の木質調湿天井材を用いた. 木質調湿天井材は実があるため,天井外周部にC型の 見切縁を取り付けた後,天井の隅部から凸部である雄 実を残すようにして納めていった. 図1.完成写真(外観) 床仕上げ材には複合フローリングを用いた.テラス 窓,単純開口部とフローリング材との取り合い部分は 面一にするため,フローリング材を欠き込み,段差や 隙間が生じないように収めた.最後にフローリングを 落とし込む勝手口下側については,同じ厚さの部材を 入れ,隙間が生じないように施工を行った. 6.施工管理 仕様書などで調べる時間を無くし,円滑に作業が行 えるように【フラット 35】対応 枠組壁工法住宅工事 仕様書 平成28年度版よりチェックリストを作成した. 品質管理において,材の受け入れ検査を行い作業に 取り組んだ.材によって,反りやねじれ,割れがあり, 加工を行うにあたって材の選定は不可欠だった. 安全管理において,実習前に安全朝礼を行い,危険 予知活動,ラジオ体操,指差呼称,実習打ち合わせ, 安全日誌の作成を行った. コスト管理において,木造標準課題の原価を元に予 算を設定した.経費削減のため,内装材や建具など余 材の使用とカタログの比較,各部材の必要数量を確認 し,積算表を作成した.その結果,使用金額が合計 479,442円となり,予算以内で完成する事ができた. 7.施工後における提案の確認 本開発課題で問題点を挙げ改善し,実際に施工した ことで,代替基礎としたリップ溝形鋼は木材と比較し て強度も高く,使い回しが行える点は良かった.ただ し,高さが低いため,市販の鋼製束を用いる場合には 土台部分を2段にする等の工夫が必要となった. 根太レス工法の採用は,根太式と比較して部材数を 減らすことができ,工期を短縮する事ができた. 片流れにする事で,切妻よりも施工作業がより簡略 できると考えていたが,はじめて取り組んだこともあ り,本開発課題では工期短縮に結びつかなかった.一 方で,今まで取り組んだことない片流れ屋根の納まり や施工方法について習得できるメリットはあった. フローリングとテラス窓,勝手口ドアを面一仕上げ にするために,パーティクルボードを敷いて床高さ調 整したり,フローリング材を欠き込み加工したりする 等の作業が必要であった.本課題を通じて室内の段差 を解消する手法について学ぶ事ができ,バリアフリー につながる面一な床面にすることができた. 8.おわりに 設計から施工および施工管理をする事で細かな納ま りなどの実践的な技術を習得できた.また,断熱材の 研修を受講し,今回の開発課題で学んだ技術を発揮す る事ができた.本開発課題で取り組んだ改良点が今後 の木造標準課題や内装施工実習の向上に役立つことが できれば幸いである. 119

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