応用課程 開発課題20周年史

関東職業能力開発大学校 第22回 ポリテックビジョン in 栃木 118 きs藤森 駿 実習用新模擬家屋の提案及び施工・施工管理 グループ6 建築施工システム技術科 ○石川麻由 寺田駿介 江幡果歩 小笠原未奈 池上悠也 石野光二郎 1.はじめに 建築施工システム技術科では,木構造施工・施工管 理課題実習(以下木造標準課題)において実習棟内に枠 組壁工法(以下2×4工法)による模擬家屋を施工し, 続く内装施工実習において天井,壁,床などの内装施 工や屋根仕上げ,外壁仕上げ等の外装工事の一部を実 施している.これら施工実習では躯体施工と内外装施 工を連続して行うことにより実践的な技術を習得でき るとともに,図面の作成から建物の仕上げまでを取り 組む経験から,達成感を得ることのできる実習課題と なっている.一方で工期やコスト等の点から断熱材の 施工は省略していたり,代替基礎が木材であったり等, 更に改良を検討したい点が見受けられる.そこで本開 発課題では,既存模擬家屋の改良を目的とし,それら の改良案を検討する.また内装施工実習で用いたこと のない仕上げ材なども使用し,習得する技術のスキル アップを図っていく.これらの取り組みによって改良 点の発見やその改善に取り組める能力を身に付け,木 造建築物や内装工事の施工および施工管理に対するノ ウハウや技術の更なる向上を目標とする. 2.新模擬家屋の計画・設計 2.1 問題点と改良点 現在の木造標準課題では 2730×2730 ㎜の部屋を長 屋形式に3室製作している.1室が狭いことから,部 屋面積を広くしたいが,実習場スペースとコストの点 から全体の大きさを既存模擬家屋以上にするのは難し い.そこで2730×4095㎜の部屋が2室の計画とし,そ の内の1室を本開発課題で製作する.その他,既存模 擬家屋の状況を確認し,改良案を検討した(表1). 表1.既存模擬家屋の提案と理由 項目 既存 提案 理由 代替基礎 木材 リップ溝形鋼 基礎の強度向上 床 根太式 根太レス 剛床化 工期短縮 屋根 切妻 片流れ 工期短縮 天井 岩綿吸音板 木質調湿天井材 スキルアップ テラス窓 段差あり 段差なし バリアフリー化 断熱材 無し グラスウール スキルアップ 2.2 設計条件 問題点と改良点を基本条件とし設計条件を決めた. 設計条件としては,表2に記載する. 表2.新模擬家屋仕様概要 敷地面積 1450㎡ 工法 2×4工法(根太レス) 屋根形状 片流れ(2.5寸勾配) 居室面積 11 . 18㎡(2730×4095mm) 最高高さ 3505mm(野地板) 断熱材 グラスウール断熱材(床・壁・天井) 開口部 勝手口ドア・テラス窓・腰窓・単純開口 内装仕上げ 床 :複合フローリング 壁 :クロス(PB下地) 天井:木質調湿天井材(実あり) 外装仕上げ 下地合板のみ(一部施工無し) 基礎については,使い回しが可能で人力でも安易に 運ぶ事ができるリップ溝形鋼(C型鋼)を使用する. 開口部について,既存模擬家屋で採用されていた開口 部の他に,勝手口を採用し取り入れた.屋根の勾配に ついて安全面を考慮し,既存模擬家屋と同様に施工条 件範囲である2.5寸勾配とした. 3.断熱材講習会及び施工 断熱材は現在の住宅建築において不可欠なものであ る.断熱材の取り付けは技術的に難しいものではない が,正しい施工方法で適切に施工しなければ,性能を 十分に発揮できない.そこで今回は大東建託株式会社 よりグラスウール断熱材メーカーのマグ・イゾベール 株式会社においてグラスウール断熱材講習会の企画し ていただき,2017年10月16日に,茨城県筑西市にあ る明野工場で講習会を受講した.講習会はグラスウー ル断熱材を製造している工場見学から始まり,グラス ウール断熱材の特性等について講義を聴講した上で, 同工場内に建てられている断熱材取り付け講習会用の 実習家屋で,グラスウール断熱材の施工上のポイント や注意点について実習を通じて指導を受けた. 4.施工作業 4.1 代替基礎施工 代替基礎となるリップ溝形鋼は,アンカーの代用と して用いる全ねじボルトを取り付けるところにマグネ ットドリルを用いて穴をあけた.その後,墨出しした 位置に実習上床にグリップアンカーを埋め込み,所定 の長さに切断した全ねじボルトを取り付け,代替基礎 となるリップ溝形鋼を座金とナットを用いて固定した. 居住・建築システム技術系 開発課題 118

RkJQdWJsaXNoZXIy ODQ0MTk3