「最大実体公差方式」は、幾何公差方式を発展させた優れた規格です。これを図面に適用すると、サイズ公差(旧寸法公差)の余裕分を幾何公差に付加できるので加工が容易になり、不良品が減ります。さらに「機能ゲージ」を用いて、加工品が良品か不良品かの判別が容易に、しかも全数検査できます。これにより測定コストを大幅に削減できます。そんな良い事づくめの最大実体公差方式について、演習問題を解きながら詳しく学びます。そして最後に、幾何公差の表示と解釈をさらに進化させた将来のJIS規格について学びます。本講習を受講することで、「最大実体公差方式」で描かれた図面の意味を理解して加工したり製図したりできるようになります。なお、別講習の「幾何公差の解釈と活用演習」と併せて受講することで、幾何公差の理解が深まるため、おすすめです。
1.コース概要及び留意事項
2.公差表示方式の基本原則
(1)独立の原則とテーラーの原理 (2)寸法の種類と普通公差・採否の基準の考え方
(3)寸法と幾何特性の相互依存性
3.データム
(1)データム(基準)とは (2)データムの選択と優先順位による検証結果の違い
(3)データムターゲットの解釈
(4)ローカルデータム(部分基準)の有効性
(5)実習(図面への適用およびデータム、データムターゲットの設定)
4.幾何特性
(1)幾何公差の種類と定義 (2)公差域の定義 (3)幾何公差の図示方法
(4)普通幾何公差(JIS B 0419)・採否の基準の考え方
(5)実習(図面への適用および幾何公差の測定)
5.位置度公差方式の図面適用
(1)真位置度理論 (2)位置度公差方式の解釈とその効果 (3)公差量の計算の仕方
(4)複合位置度公差方式の解釈とその効果
(5)突出公差域の解釈とその効果 (6)機能ゲージによる位置の検証とゲージ寸法の計算方法
(7)実習(図面への適用および討議)6.MMPの原理
(1)最大実体公差方式の原理と効果 (2)最大実体公差方式の図示の違いによる解釈の仕方
(3)実用的な簡易図示方法とその解釈 (4)0(ゼロ)幾何公差方式の解釈とその効果
(5)最大実体公差の適用事例
(6)実習(最大実体公差方式の検証)7.MMPを適用した部品の検証
(1)機能ゲージとは
(2)検証方法及び合否判定方法 (3)機能ゲージの適用性
(4)同時検証について
(5)MMP不適用の場合も機能ゲージ (6)確認実習(機能ゲージによる検証)8.図面によるトラブル事例
(1)各種トラブルの種類
(2)討議および実習(データム、データムターゲットの設定、幾何公差測定ほか)9.まとめ